煎茶道具
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煎茶道具とは？歴史と背景
1. 煎茶の起源と日本への伝来
煎茶の歴史は、中国・明代（14〜17世紀）に遡ります。中国では烏龍茶や緑茶を煎じて飲む文化が広まり、日本には江戸時代初期に隠元禅師（いんげんぜんじ）が持ち込んだとされています。
17世紀：黄檗宗（おうばくしゅう）の開祖・隠元禅師が中国の煎茶文化を日本に伝える。
18世紀中頃：売茶翁（ばいさおう）が京都で煎茶文化を広め、煎茶道が確立。

2. 煎茶道の発展と文人趣味
煎茶道は、自由な精神性を重んじる文人趣味として広まりました。

江戸時代中期以降、煎茶道具の需要が高まり、京都や大阪の名窯、備前焼、常滑焼などが煎茶道具を手掛けるようになりました。
明治〜大正時代には、煎茶文化の隆盛とともに、豪華な煎茶道具が多く制作されました。

煎茶道具の種類と特徴
1. 急須（きゅうす）
煎茶道具の主役である急須は、お湯と茶葉をゆっくりと抽出するための器具です。

常滑焼（とこなめやき）：朱泥急須が代表的。鉄分を含む土が茶の渋みを抑える。
備前焼（びぜんやき）：素朴な風合いと耐熱性が特徴。
京焼・清水焼（きよみずやき）：繊細な装飾が施された作品も多い。

評価ポイント
作家の銘が入った急須（人間国宝や著名作家）
江戸期〜明治期の時代物
中国紫砂（しさ）急須も高評価

2. 煎茶碗（せんちゃわん）
煎茶碗は、繊細な味わいを楽しむための小ぶりな器です。

九谷焼（くたにやき）：色絵の華やかな意匠が人気。
伊万里焼・有田焼（いまりやき・ありたやき）：江戸時代から続く格式ある磁器。
京焼・清水焼：洗練されたデザインが特徴。

評価ポイント
人間国宝や著名作家の作品
共箱・仕覆・鑑定書の有無
中国の古染付・青花の煎茶碗も人気

3. 湯冷まし（ゆざまし）・建水（けんすい）
湯冷まし：湯の温度を調整する器で、磁器や陶器で作られたものが多い。
建水（けんすい）：使用済みの湯を捨てる器具で、金属や陶磁器製のものがある。

評価ポイント
江戸〜明治期の古陶磁器の湯冷まし・建水
有名窯元・作家作品は高額査定される。

4. 茶托（ちゃたく）・茶合（ちゃごう）
茶托：煎茶碗を置くための器で、木製や漆塗りが多い。
茶合（ちゃごう）：煎茶の量を測る器具で、銀や竹製が人気。
評価ポイント
漆塗りの名工の作品（輪島塗・春慶塗など）
江戸時代の銀製茶合は希少性が高い。

5. 瓶掛（かめかけ）・花入れ（はないれ）
瓶掛：湯を沸かす道具で、鉄瓶や銅製品が多い。
花入れ：煎茶席を彩る花を生ける器具で、陶磁器や竹製が主流。

評価ポイント
古備前、古信楽、伊万里焼の花入れは特に人気。
鉄瓶は南部鉄器（岩手県）が高く評価される。